作曲家の筒美京平さんが誤嚥性肺炎のため亡くなったと報道がありました。
筒美京平さんといえば数々の大ヒット曲を生み出した日本を代表する最も偉大な作曲家です。
80歳という高齢でしたが、まだまだ元気でたくさんの曲を作ってほしかったですし、いろんな時代の思い出が蘇ってきて切ない思いをしている方も多いとか。
ここでは筒美京平さんの経歴と、彼が作曲したアニメソングを独断でランキング表示しています。
意外と知られていないものもあるかもしれません。
目次
筒美京平の経歴
筒美京平さんは1940年5月28日、東京都新宿区生まれの80歳。
幼少期にピアノを習い、学校は小学校から大学までずっと青山学院に通い、卒業しています。
大学生の頃にジャズに傾倒し、その後の作曲家人生の礎となる経験をしたそうです。
大学卒業後は現在のユニバーサルミュージックの社員となり、ディレクターとして働きました。
しかし、すぎやまこういちさんに師事して作曲・編曲の技術を学ぶと、制作側へと踏み込んでいくことに。
1966年に藤浩一さんの「黄色いレモン」という曲で作曲家デビューを飾りました。
残念ながら歌入りの動画を見つけられませんでしたが、インストのカバーがあります。
ライトな感じですが、ベースラインにすでに巨匠の片鱗が見えますね。
その後一気にトップシンガーたちの作曲を手掛けることになり、
60年代に、アニメ「パーマン」の挿入歌と「怪物くん」主題歌を担当していますが、いずれも白黒版です。
80年代のカラー版「怪物くん」の野沢雅子さんが歌った主題歌は小林亜星さん作曲でした。
1969年にアニメ「サザエさん」のオープニング・エンディング曲を手掛けます。
こちらは現在でも使われている名曲中の名曲ですね。
1970年代には世界的なディスコサウンドの流行に載って、壮大なオーケストラによる縦ノリな曲調の楽曲がたくさんできました。
1975年には前年に「ソウル・トレインのテーマ」や「天使のささやき」を世界的大ヒットさせたアメリカの女性ボーカルグループ、スリー・ディグリーズ「にがい涙」を提供。
もうめちゃくちゃかっこいいです。
「見てたはずよ」と日本語で歌うスリー・ディグリーズ。
トップスターに日本語で歌わせるという企画、今後実現することは無いでしょうね。
翌年の1976年には浅野ゆう子さんの「セクシー・バス・ストップ」をリリースしました。
この曲自体、ダンスクラシックスの名曲として海外のDJにも有名です。
この頃の音楽の特徴は、ディスコ調の4つ打ちドラムに跳ねたベースライン、アタックの効いたカッティングギター、オーケストラによるストリングスとブラスを組み合わせた重厚なサウンドでした。
これはアメリカ・フィラデルフィア・レコード主宰のケニー・ギャンブルとレオン・ハフがシグマ・サウンド・スタジオで確立した「フィリーサウンド」と呼ばれるサウンドで、現在の音楽業界でもこの頃のサウンドを基調とした楽曲が主流となっています。
日本でも70年代〜80年代初期にかけてフィリーサウンドを目指した局長が流行り全盛を迎えました。
↓「センチメンタル」岩崎宏美(1975年)
↓「想い出の樹の下で」岩崎宏美(1977年)
歌番組もとにかく豪華でした。
フルオーケストラで演奏してましたからね。
↓「セクシャルバイオレットNo.1」桑名正博(1979年)
↓「魅せられて」ジュディ・オング(1979年)
ゆったりした局長のイメージの「魅せられて」ですが、こちらも四つ打ちビートに乗ったダンスチューンでした。
この曲は日本レコード大賞を受賞しています。
1980年代に入ってからはディスコサウンドは下火になっていきますが、筒美京平さんのメロディーメイカーとしての実力はより磨きがかかっていきました。
ジャニーズの近藤真彦と田原俊彦が台頭し、若い女性の人気を二分していた頃、二人のヒット曲を作っていたのはこの人筒美京平さんでした。
筒美京平が作曲した近藤真彦のヒット曲
近藤真彦さんのヒット曲で筒美京平さんが作曲したものは以下の通りです。
- スニーカーぶる〜す
- ヨコハマ・チーク
- ブルージーンズメモリー
- 情熱☆熱風☽せれなーで
- ふられてBANZAI
- ホレたぜ!乾杯
- ミッドナイト・ステーション
- ためいきロ・カ・ビ・リー
- ロイヤル・ストレート・フラッシュ
- 一番野郎
- 泣いてみりゃいいじゃん
- Made in Japan
この中で太字のものはオリコン最高順位で1位を獲得しました。
まさに飛ぶ鳥を落とす勢いでしたね。
筒美京平が作曲した田原俊彦のヒット曲
では田原俊彦さんを見てみましょう。
- 君に薔薇薔薇…という感じ
- 原宿キッス
- ラブ・シュプール
- シャワーな気分
- どうする?
- 抱きしめてTONIGHT
- かっこつかないね
「抱きしめてTONIGHT」や「かっこつかないね」は1位じゃなかったんですね、かなり有名なので以外でした。
1990年代以降の筒美京平
1990年代には歌手やアイドルが多様化してきて、筒美京平さんがヒットチャートを独占するような状態ではなくなってきたんです。
バンドや小室哲哉さんなどが出てきて、ランキング上位をしばらくの間賑わせていた頃。
筒美京平さんは多くのアーティストに楽曲提供しながら、これまでと変わらず表舞台には立たず音楽業界を支えていきました。
注目すべきは内田有紀さんの「TENCAを取ろう! -内田の野望-」を手掛けたあとの1995年。
シンガーソングライターの小沢健二さんの「強い気持ち強い愛」「カローラⅡに乗って」の作曲でした。
小沢健二さんといえば、筒美京平・山下達郎と並ぶ作曲家とも言われるほどの実力者。
これは、小沢健二さんによる筒美京平さんへのリスペクトであったのであろうと思われます。
二人の楽曲に共通するところといえば、1970年代のディスコサウンド。
小沢健二さんにとってリアルタイムに70年代の現場にいた筒美京平さんに、特別な尊敬の念を持っていたとしても不思議ではありません。
2000年代に入ると作曲する曲の絶対数が減りました。
体力勝負の世界でもあるため、年齢とともに曲数が減るのは自然なこと・・・
ただしクオリティは一切低下することはありませんでした。
↓「海岸線のホテル」ザ・タイツメン(2008年)
グループサウンズ全盛の1968年のテイストをそのまま持ってきたような曲です。
↓「時空ツアーズ」竹達彩奈(2013年)
発売当時、初見で疾走感が足りないと感じたファンも多かったようですが、多くは何度も聴いているうちに曲の良さがわかったという評価でした。
配信が全盛となってたくさんの曲をすぐに手に入れられる時代、1曲をじっくりと何度も聴くというのがあまりなくなってきてたんですね。
筒美京平さんの曲はぜひ何度も聴いていただきたいと思います。
2019年に発売された田所あずささんの「あなたの淋しさは、愛」がおそらく筒美京平さんの最後の作品かと思われますが、動画は見つけられませんでした。
music.jpで配信・ダウンロード可能となっていましたので、リンクを張っておきます。
30日間、基本料金無料で1600円分のポイントももらえるということで、無料で聴ける曲数が多いところが話題です。
>>無料で「あなたの淋しさは、愛」を聴く筒美京平の作曲したアニメソングを好きな順に表示
筒美京平さんはアニメ主題歌や挿入歌を作曲していたことも知られています。
- パーマン挿入歌「パーマン2号はウキャキャのキャ」1968年
- 怪物くんOP「おれは怪物くんだ」1968年
- サザエさんOP「サザエさん」1969年
- サザエさんED「サザエさん一家」1968年
- スプーンおばさんOP「夢色のスプーン」1983年
- スプーンおばさんED「リンゴの森の子猫たち」1983年
- 重戦機エルガイムOP(前期)「エルガイム-Time for L-GAIM-」1983年
- 重戦機エルガイムED「スターライト・シャワー」1983年
- 重戦機エルガイムOP(後期)「風のノー・リプライ」1984年
- 重戦機エルガイム挿入歌「傷ついたジェラシー」1984年
- 機甲戦記ドラグナーOP(前期)「夢色チェイサー」1986年
- はれときどきぶたOP「BOO〜おなかが空くほど笑ってみたい〜」1998年
- テニスの王子様キャラクターソング「E気持」2005年
- デンキ街の本屋さんOP「齧りかけの林檎」2014年
- デジモンユニバース アプリモンスターズED「青い炎シンドローム」2016年
かなりの数ですが、印象としてはもっとたくさんあったような気がしていました。
①スプーンおばさん OP「夢色のスプーン」1983年
スプーンおばさんは1983年放送のNHKアニメ。
アニメ的にはほのぼのした内容で特筆すべき部分は無いですが、やはりこの曲の評価が非常に高く、音源を求めている人も多いそうです。
ちなみにこの曲は「ニルスのふしぎな旅/スプーンおばさん」というオムニバスCDに収められています。
歌っていたのは飯島真理さん。
デビュー曲だったみたいです。
素敵な歌声ですよね。
②スプーンおばさんED「リンゴの森の子猫たち」1983年
つづいてまた「スプーンおばさん」ですが、こちらはエンディング。
オープニングとともに、素晴らしい旋律で、それぞれの音が葉の上を弾けて流れる雨粒のように感じられます。
前年に放送されていた「ニルスのふしぎな旅」の曲とセットでオムニバスCDが発売されています。
③重戦機エルガイム(後期)OP「風のノー・リプライ」1984年
重戦機エルガイムは「ガンダム」を作った富野由悠季さん原作のロボットアニメで、1984年2月〜1985年2月まで放送されてた全54話の作品です。
前期OPも筒美京平さんでしたが、後期の「風のノー・リプライ」が特に軽快で切なくて良かったです。
④デジモンユニバース アプリモンスターズED「青い炎シンドローム」2016年
メチャいい曲ですね。
すでに配信全盛時代でしたが、CDで購入する人が大発生していたという。
買って正解ですよね。
⑤サザエさんOP「サザエさん」1989年
言わずと知れたサザエさんです。
歌が圧倒的存在感なので見逃しがちですが、伴奏をよく聞いてほしいですね。
筒美京平さんのサウンドそのものでした。
ということで、今回は筒美京平さんについてでした。
巨匠が亡くなり、非常にショックですが、作品は永遠に残ります。
少しでも多くの方に聴いてもらえたらうれしいです。
ご冥福をお祈り致します。