菅義偉首相が、日本学術会議の会員候補のうち、6人の任命を拒否した問題が、連日、さわがれています。
この問題自体はあまりにも有名なわけですが、それでは、この、日本学術会議とはそもそもどういった存在なのか、そして任命を拒否したことのどこが問題なのかは、あまりよく知られていません。
そこで、こういったことを見ていきましょう。
日本学術会議の会員候補のうち、6人が任命を拒否された理由も、探ってみました。
また、日本学術会議の会員候補のうち、任命を拒否された6人の、名前、専門分野についても、確認していきましょう。
1.学術会議6人の任命拒否理由
菅義偉首相によって、会員候補のうち、6人の任命が拒否された、日本学術会議。
まずは、この日本学術会議とは、どのような存在だったのか、見ていきたいと思います。
日本学術会議とは、内閣府に所属している機関です。
日本の科学者を代表する機関で、科学の向上発達、行政、産業、国民生活に科学を反映浸透させることが、組織の活動目的になっていました。
日本学術会議は、内閣総理大臣が主任の大臣である内閣府に所属しているため、当然、所轄するのも、内閣総理大臣。
もっとも、学術的な組織であるため、活動はあくまで政府から独立して行われることになっています。
会員の任命に関しては、学術研究団体から推薦された候補者のなかから、推薦人が選んだ科学者のなかから任命されるようになっていました。
定数は、会員が210人、連携会員が約2000人。
参議院議員とおなじく、その任期は6年となっていて、3年で約半数が交代します。
ただし、会員の任期は1期のみで、再任はありません。
会員の身分は特別職の国家公務員、連携会員の身分は一般職の国家公務員とされていました。
そんな日本学術会議は、国際科学会議、世界工学団体連盟といった国際的な学会に対して、組織構成員になるケースもあります。
さらに、国際純正・応用化学連合、国際純粋・応用物理学連合、国際農業工学会、国際自動制御連盟といった国際的な学会に対して、組織内の委員会が組織構成員になるケースもあるなど、国際社会への影響力もとても高いのが特徴なのでした。
以上のように、日本学術会議は、かなり格式の高い組織であって、会員は厳格に候補者が選ばれ、候補者は原則としてそのまま任命されることになっています。
それが今回、菅義偉首相によって、会員候補のうち、6人の任命が拒否されたわけですから、騒がれるのは当たり前であるといえるでしょう。
それでは、続いては、どうしてこのような問題が起こったのかについて、見ていきたいと思います。
2.学術会議6人が任命拒否された理由
菅義偉首相が、日本学術会議の会員候補のうち、6人の任命を拒否した理由とは、いったい、どういうものだったのでしょうか。
実は、政府は、任命を拒否した理由自体を明確にしてはいませんでした。
拒否自体が異例のため、これは不気味ですね。
しかし、拒否された6人の会員候補には、いずれも、過去に政府に批判的だったという共通点がありました。
そのため、政権に批判的な人たちのあいだからは、反政府的な人たちを排除しようとしたのではないか、とみられています。
本当にこういう理由だったのかどうかは分かりませんが、理由がしっかり説明されないところを見ると、仮にそうだったとしても不思議ではないかもしれませんね。
3.任命拒否された学術会議6人の名前一覧
それでは、菅義偉首相から任命を拒否された、日本学術会議の会員候補のうちの6人とは、どのような人たちだったのでしょう。
東京慈恵会医科大学教授の小沢隆一さん。
早稲田大学大学院教授の岡田正則さん。
立命館大学教授の松宮孝明さん。
東京大学教授の加藤陽子さん。
京都大学大学院教授の芦名定道さん。
そして、東京大学教授の宇野重規さんでした。
このように、任命を拒否された会員候補たちは、いずれも有名大学の教授ばかりとなっています。
4.任命拒否された学術会議6人の専門分野
続いては、菅義偉首相から任命を拒否された、日本学術会議の会員候補のうちの6人の、それぞれの専門分野もチェックしていきましょう。
東京慈恵会医科大学教授の小沢隆一さんは、憲法学。
早稲田大学大学院教授の岡田正則さんは、行政法学。
立命館大学教授の松宮孝明さんは、刑事法学。
東京大学教授の加藤陽子さんは、歴史学。
京都大学大学院教授の芦名定道さんは、キリスト教学。
そして、東京大学教授の宇野重規さんは、政治学でした。
任命を拒否された会員候補たちの専門分野は、多様なものだったのですね。
日本学術会議の会員候補のうちの6人が任命を拒否された問題は、想像以上に根深かったようですね。
あえて任命しなかった政府の理由は不明な以上、せめて明らかにしてほしいものです。
くれぐれも、世間から疑われているようなことが真相でなければいいのですが。